今回は、英語について書いてみます。英語の中でも、とりわけ格調の高い英語、いわゆる文語の紹介です。自分の思い出を書きながら、バートランド・ラッセルの紹介をします。
では見てみましょう。文語はいいですよ。
文語への憧れ
大学に入ってから、なぜか急に文語に憧れました。大学受験で読んでいて楽しいのが、いわゆるそういう英語だったんですね。古い雰囲気のする英語です。
ちなみに日本語の古典文学も好きで、大学に入った直後に一通り読んでいました。
で、英語も得意なので、日本語の次は英語だ!と、大学の3年生の時には英語の勉強ばっかりやっていました。
その結果、その年に履修したアメリカ文学の成績は全てAでした。結果が出たのは嬉しかったです。そういう感じで、勉強漬けの大学生活を送りました。
大学在学中や卒業してからも、時折、文語的な英語の翻訳の仕事をしていました。何でも勉強はしてみるもので、その時の文語の勉強が役に立ちました。
翻訳したものを具体的に言うと、オークションカタログです。歴史あるオークション会社のオークションカタログでは文語(風)の英語を今でも見ることができます。
そのような場所では、格式を高めるためにあえて古風な英語で説明文が書かれています。
英語の文語とは
英語の文語を読みたい、となれば、どういう年代の英語を読めばいいのでしょう。
イギリスは詳しくないですが、アメリカで言うと、年代で1900年代初頭の学者の英語が読みやすい文語という気がします。
もっと古いアメリカ文学の英語にも読んでいて面白いものがあります。エミリー・ディキンソン、ハーマン・メルヴィル、エマーソン……。これこそが文語だという人もいるでしょう。
しかし、そこまで下る(だいたい19世紀です)と中々に片手間で読むと言うのは厳しいです。普通に英語が得意だよ、というレベルでは読めません。現代の欧米の人でも、読み切れないものも多いです。
研究者でない人が読むなら、20世紀初頭の英語の方が現代に近く、楽しめます。
体感ですが、100年前くらいに使われていた単語や言い回しであれば現在でも高級紙などで見ることがあります。
しかし、それより前、150年くらい前の単語となると、あまり現在の新聞では見ません。それに、あまりにも古い言葉は今書くときに使えません。
なので、実用性の意味でも、19世紀の本はひとまず無視して、20世紀の文語から読むと良いです。それくらいであれば、欧米人の中でも読める人は沢山いますし、たまに自分が英語を書く時に使っても怒られることはないでしょう。
とりあえずラッセルを読もう
本題に戻りますが、英語の文語を読みたい人には、バートランド・ラッセルがオススメです。
ラッセルは、その若いころ数学者・論理学者として名を高めます。晩年は著作活動や社会活動に専念し、1950年にノーベル文学賞を受賞します。
その著作の中でも、評判が高いのが『幸福論』と訳される"The Conquest Of Happiness"(1930)です。
このAmazonレビューでも、「かっちりした英語で、英文としての模範になる」「英語学習に最適」と言われていますね。
ラッセルの思いと英語
"The Conquest of Happiness"の冒頭、前書きの中から一文だけ引用しましょう。
だいたい、「しゃべってばっかりで行動しないエリートはこの本読んでも意味ないよ」みたいな話から前書きでは始まるんですが、その中でこういう一文があります。
"No profound philosophy or deep erudition will be found in the following pages."
日本語では大体「(エリートが好きな)深い哲学や知識は、この本の中には一切見つけることはできないぞ」みたいな意味です。
強気な表現ですが、それにもまして、なんとも簡潔な英語です。
profound philosophy or deep..の部分もpを続けて韻っぽくなってますね。
profoundとfoundは、綺麗に韻を踏んでいます。そう思いつつ読むと、foundからfollowingのつながりもリズムがいいです。
などなど、ラッセルの英語は結構面白いです。さすが、ノーベル文学賞!
まとめ
格調高い英語、文語を読みたい人に、ラッセルはかなりお勧めです。
次の機会には、もう少し古い英語の文語の紹介もしてみたいです。
ではでは、英語の学習の参考になれば幸いです。
おわり